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Asia Ladowska (アーシア・ラドウスカ)

イギリスを拠点とするアーティスト、アーシア・ラドウスカは、最愛のマンガやアニメにインスパイアされたユニークなスタイルのイラストで知られています。すばらしい芸術的才能をキャリアに発展させたアーシアは、現在Instagramで100万人以上のファンにフォローされています。

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あなたの経歴についてお話しいただけますか。
こんにちは!私の名まえはアーシアで、ポーランド出身です。アナログとデジタルの両方で、主に日本のマンガやアニメにインスパイアされた女の子キャラのイラストを描いています。

絵を描くようになったきっかけは?
多くの子どもたちと同様に私も絵を描くことが大好きで、その興味はずっと尽きることがありませんでした。両親が早い段階で私のアートへの強い関心に気づいてくれて、私が10代の頃にアートスクールへの入学を勧めてくれたこと、さらに大学でもイラストとグラフィックデザインを学ぶよう勧めてくれたことは、私にとってとても幸運なことでした。

なぜアーティストになろうと思ったのですか?特定の誰かや、なにかに影響されたのでしょうか?
私の場合、「アーティストになろう」って決めたことはないんです。ラッキーなことに、これまでずっとアート関連のキャリアを歩んでこれたので。でもその幸運は、イギリスに留学したときに一度尽きちゃったんです。一人暮らしを始めてすぐにお金がなくなって、展覧会を開いてみたり、地元のアートコンテストで優勝もしたんですが、絵を描いても生活の足しにはならず、結局大学を中退して働かなきゃならなくなったんです。それからも仕事を変えたり、バイトしながら勉強を再開したり、5年以上は悪戦苦闘してました。
大学を通じてデザイナーのインターンに採用されてからは、生活が安定して日々のストレスからも解放されたので、また絵を描くことが大好きになりました。

あなたがもっとも影響を受けた人やものについて教えてもらえますか?
私がデザイナーとして働いていたころ、日本に住むロシア人イラストレーターが、毎日ウェブでデジタルイラストを公開して大人気だったんです。彼の絵にすっかり魅了されてしまって、彼女のTumblrやDeviantartのページを真夜中の3時にチェックしては、新しいイラストがアップされるのを待っていました。イリヤ・クブシノフ(Ilya Kuvshinov)という人なんですが、彼は間違いなく当時の私の最大のインスピレーションでした。
彼の絵に触発されて私はまたスケッチするようになり、毎日早めに出勤して空いた時間にスケッチしてました。数ヶ月後には行き帰りの電車の中でもスケッチしてましたし、昼休みも夜もずっとスケッチしてましたね…。絵を描く、ということが本当に私を幸せにしてくれて、日々を乗り越える力を与えてくれたんです。

プロのイラストレーターとして活動を始めたのはいつですか?
特にきっかけがあったわけではなかったと思うんで、はっきりいつからとは言えないです。昼間はデザイナー、夜はイラストの仕事と、フルタイムの仕事を2つ掛け持ちしているうちに、いつの間にか大学を卒業しちゃった感じなんです。そのときの睡眠時間は2日間に2時間から3時間程度でした(こういう生活はお勧めしませんけどね!)。

10代のころからマンガイラストに興味を持っていたとお聞きしました。でも高校時代、そして渡英後も大学やデザイン会社などでイラストを描く機会には恵まれなかったそうですね。
いまでこそマンガイラストはすごく人気がありますが、私がアートスクールに通っていた16年前には、マンガはすごく蔑まれていたんです。アートスクールを受験する前、セーラームーンやポケモンのキャラクターを描いた絵を先生に持っていって感想を聞く機会があったんですが、その先生にこう言われたんです。「こんな絵を描き続けていたら、どこのアートスクールにも行けないよ」って。この言葉はいまでも忘れられないです。14歳の私にとっては、生きるか死ぬか脅迫されてるような感じでした。
それからずっとマンガっぽいイラストを人に見せる勇気が出なかったんですが、大学に入ってからまた挑戦してみました。イラストの授業の課題としてどうしてもマンガを描きたかったんです。先生に自分の絵を見せて、これは日本にインスパイアされた物語だから右から左にページを開いてくださいと説明すると、先生に「いまあなたがいるのは日本じゃないですよね?イギリスでは、本は左から右へ読むものです」と言われてしまいました。課題の制作ではサポートを受けることはなく、いつも「もっとヨーロッパ風のエディトリアル・イラストに変えなさい」と言われてましたね。私はとても頑固だったので課題を最後までやり遂げましたが、結果的にはとてもひどい成績でした。時代が変わって、学校の方針が変わっているといいんですが、それは後輩たちに聞いてみないとわかりませんね。
私のデザイナーとしての仕事では、絵を描くことは全くありませんでした。主に写真、タイポグラフィー、ウェブデザインを担当しており、イラストレーションのスキルは必要ありませんでした。

デザイン会社を退職後、フルタイムのイラストレーターになって大変な人気を得ていますが、将来性のある職業を捨てて、マンガイラストでやっていくことに迷いはなかったのでしょうか?
いや、ほんとに最後の瞬間まで迷ってましたよ!ネットでイラストを公開したり、コミッションの仕事を受けたりしてましたが、その収入だけじゃ仕事を辞められるほどの経済的な支えにはならなかったです。睡眠不足で疲れがたまり、仕事へのモチベーションも下がり、パフォーマンスが上がらなくなっていました。
なので、上司と面談して自分が燃え尽きていると感じていること、そしてできれば仕事を辞めずに無給の休暇を取りたいと伝えました。家賃を前払いするために貯めていた金額と同じ分、6ヶ月の長期休暇を申請しました。会社も同意してくれたので、まず睡眠時間を確保して、インスピレーションを得るために3週間日本を旅して、フルタイムでイラストを描いてみて、もしうまくいかなければ半年後に仕事に戻る、という計画を立てたんです。ダメだったら半年後に復帰すればいいやと。仕事を辞めるのがいかに怖くて不安だったか、よくわかりますね…。

あなたにとって、マンガイラストの魅力とは?
愛しているという感情とその理由を説明するのは難しいですね…。いつの間にか好きになったとしか言いようがないです(笑)。
でもそうですね、マンガイラストで描かれる線、シンプルさ、あるいは複雑さに惹かれますね。同時に、美しく鮮やかなトーンの色使いや、髪の毛や布地を無重力みたいにふわっと描くイラストレーターさんも大好きです。いつもすごく軽やかで、しなやかなタッチなんです。マンガのスタイルで描かれた絵は、現実を別の角度から捉えていて、見ていてとても心地よくて、楽しくなります。

いまやインスタグラムのフォロワー数が100万人を超える人気アーティストですね。SNSがアーティストに与える影響について、どのようにお考えですか?
SNSは、いまアーティストに大きな影響を与えていると思います。しかし、そこにはプラス面もマイナス面もあります。
SNSで人気が出る前は、私がアートを仕事にするなんてできませんでした。SNSは私のドアを開き、多くのチャンスを与えてくれました。イリヤや、その他多くの私に影響を与えてくれたアーティストを発見しただけでなく、アーティストの友だちができたり、さらにはコピックマーカーを知ることができました。その結果、私のイラストが皆さん日本のコピックチームの目に触れることになり、このように出会うことができたわけですよね。これは、国や大陸の枠を超えた、とてつもなく大きな力です。でも、それは高い代償も伴うんです。
SNSでは、オンライン上で存在感を示さなければアルゴリズムの中に埋もれて消えてしまうために、アーティストにより多くの作品を、より速く作り続けなければならないというプレッシャーを与えます。みんなたくさん投稿してますが、注目度は非常に低いので、知名度を上げるのは大変です。
さらに、若い人たちにとっては、何千もの「いいね!」や「フォロワー」を獲得しなければ成功ではない、という「偽」の成功イメージが植え付けられ、彼らを鬱にさせ、本質的には意味がないのに「いいね!」や「フォロワー」を獲得することばかり追求するようになってしまっていると思います。
イラストを投稿することは仕事とは言えません。でも、成功するためにはビジネス的な視点が必要です。SNSは強力なマーケティングツールであり、世界中の友だちやクライアント、企業とのネットワークではありますが、ただ画像を投稿したところでまったく収入にはつながりません。それをキャリアにするためには、どうしたら収入源になるかを考え、SNS上で宣伝しなければなりません。作品を売るにしても、本を自費出版するにしても、オンラインのコースを販売するにしても、まず売りたいものを用意して、商売用のプラットフォームで売る必要があります。

最近、初の教則本「Sketch with Asia」を出版されましたね。この本について教えてください。
"Sketch with Asia - Manga Inspired Illustrations and Tutorials by Asia Ladowska "は、2019年に3dtotal社から出版された書籍で、それ以前に制作した私のオリジナルイラストも多数収録されています。
この本では、読者は私とアートの関わりを最初から追いかけることができ、絵における私の変化や上達を見ることができます。スランプや、進歩しないことを克服する方法など、駆け出しのアーティストにありがちな共通のハードルを乗り越えられるよう、思いつく限りのヒントを盛り込みました。初心者向けのチュートリアルのほか、上級者向けのエクササイズも用意されています。

いつからコピックマーカーを使い始めたのですか?きっかけはなんだったのでしょうか?
2016年に初めて、コピックチャオのパステルカラー5色セットを使ってイラストを描いたのが最初です。コピックのことは、インスタグラムで他のアーティストから教えてもらったんです。数ヵ月後、コミッションを受けてその5色で描いたイラストがオンラインではじめて売れて、そのお金でもっとコピックを買うことができたんです。その成果が自分ですごく誇らしくて、嬉しかったのを覚えています。

好きなコピックマーカーの種類を教えてください。いつも使っている特定の色はありますか?
柔らかい(スーパーブラシ)ニブが好きで、コピックチャオとコピックスケッチマーカーを使ってます。このニブを使うことで実現できるさまざまな効果、ソフトな混色の表現がとても気に入っています。最もよく使っている色は、R0000、R000、R00、R20、E0000、RV00、B60、BV21、BV23、BV25、それとBV29ですね。いろいろな色やカラーパレットを使って描くようにはしてるんですが、お気に入りとなるとこのへんの色は絶対外せませんね。

アーシアさんの作品の美しさとコピックマーカーの技術には目を見張るものがあります。コピックの使い方も熟知されていると思いますが、コピックファンに教えてあげたいアーシアさん独自のテクニックやコツはありますか?
嬉しいお言葉、ありがとうございます。本当に感謝しています。正直なところ、コピックマーカーを使い始めて6年経ったいまでも、新しいテクニックやコツを学び、発見し続けています。そのうちのいくつかをご紹介します:

・明るい色・暗い色をイラスト全体で使っていくのが好きなんですが、アルコールマーカーって描いてるうちに紙から他の色を拾ってしまいがちですよね。色が汚れたりしないように、一番濃い色は最後に使うようにしています。

・あまり描き込まないようにした作品やクイックスケッチの場合、色を使いすぎたり混ぜすぎたりしないように、あらかじめ薄めの紙やスケッチブックを使うようにしています(こういう紙に大量のアルコールインクを使うと、どんどんにじんでくるのでやりすぎないで済むのです)。逆に細かく描き込んだイラストの場合は、いつもホットプレス加工された、スムーズな表面の水彩紙を使っています。

・違うメディア・画材を組み合わせて、表現の幅を広げましょう!マーカーだけで描けることは限られています。鉛筆や色鉛筆、マルチライナーペンなどを併用すれば、まつ毛や髪の毛1本1本など細かく描くこともできますが、これはマーカーだけではなかなか難しいですよね。

・コピックは色数が多いので、色を選ぶのに悩んでしまうことがあると思います。そんなときはあえて数色に限定して描いたり、チャレンジとして適当に選んだ3色だけ使ってみるのもおもしろいんじゃないでしょうか!

・コピックマーカーの0番は、カラーレスブレンダーなので、たとえば線から色がはみ出してしまったときなどは修正用の「消しゴム」がわりに使えます。あと混色するときは、混ぜたい色よりちょっと薄めの色番号を選んでます。

イラストレーターを目指している若いコピックファンにメッセージをお願いします。
自分の心に従って、自分の好きなものを描きましょう。私たちみんな、異なる個性を持ってますし、そもそも好きなものや学ぶペースだって違うんですから、自分を他人と比べるのはやめましょう。新しいことやテクニックを試すのを恐れないでください。そういうことを探求して、学んでいくのは本当に楽しいですよ!また「ブランク」を空けず、絵を描き続けましょう。忙しいときこそ、ちょっとした時間を見つけて絵を描いたり、スケッチをしたりすることが大切です。1日10分でも、1週間なら1時間以上になります。コピックでイラストを描き上げるのに十分な時間です。

ありがとうございました。今後のさらなるご活躍を期待しています。
インタビューの機会をありがとうございました。これが刺激になって、アーティストの皆さんが決してあきらめず、好きなことを追求してくれたらいいなと心から願っています。

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