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Vexx(本名・ヴィンス・オカーマン)は、ベルギー出身のマルチアーティストで、カラフルでユニークな「Doodle(落書き)」スタイルで世界的に知られており、YouTubeでのチャンネル登録者数、SNSでのフォロワー数は合わせて350万人を超える。GUCCI、PORSCHE、PUMA、Amazonなど多くの著名なブランドともパートナーシップを結んでいる。

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インタビューをお引き受けいただきありがとうございます。まずはVexxさんの自己紹介をお願いします。

いま(2022年取材時)24歳で、ベルギー出身です。16歳になったときにアーティストになるという目標に向かってより真剣にアートに取り組むようになり、Instagramで新しい絵を毎日投稿し始めたら、すぐにフォロワーが数千人に増えました。その過程でカラフルな Doodle(落書き)スタイルを発見したんですが、すごく反応がよかったんです。その後YouTubeで作品制作の様子を公開してからは、一気にキャリアが広がりました。
最近では美術館での展示や、限定版の高品質プリントの販売、ペインティング、NFT、トイアート・スカルプチャーなど、本格的なアートの世界にも足を踏み入れたところです。いまはブリュッセルに自分のアートスタジオを持っています。

16歳の時から活動し始めたとのことですが、アーティストを目指したきっかけは何だったのでしょうか。

子どものころからずっと絵を描いていて、かなり上手かったんですよ(後になって気づいたんですけどね)。14、15歳のとき漫画を描くことに興味を持ち始めて、入門書を読んだりしてました。あと、美術史にも突然興味が出てきたんです。そのころにはアーティストになりたいと思ってたんじゃないかな。親は絵を描いて食べていくなんて無理だと思ってましたけどね。でもKAWSやMusketon(どちらもベルギーのアーティスト)といったアーティストが、夢を実現させるきっかけになったんです。

コピックを使い始めたのはいつですか?またコピックを選んだ理由は何だったのでしょう?

コピックを使い始めたのは、16歳でInstagramのアカウントを作ったときです。僕の知っているプロはみんなコピックを使っているという印象があって、彼らの作品があり得ないぐらい素晴らしいんです!彼らとまったく同じツールを持っているなら、彼らと同レベルの作品を作れないなんて言い訳はできないよね、という思考プロセスに至ったんです。ツールが同じなら、そこにあるのは画力の差だけですからね。プロと同じ道具を持ってるのに自分の作品が彼らより劣るなら、もっと時間をかけて自分のテクニックを向上させるしかない、ってことですからね!

初めてコピックのセットを手に入れたのは誕生日プレゼントとして貰ったときだったんですが、超ラッキーでした!最初はコピックチャオの36色セットでした。本当に欲しかったものだったので、すごく嬉しかったです。いまでもコピックは使っていますし、全色持ってます。

好きなコピックの種類(例・スケッチ、チャオ、クラシック、ワイド、もしくはコピックインク)はなんですか?また、定期的に使っている特定の色はありますか?

いちばん気に入ってるのはもちろんコピックスケッチです!スーパーブラシニブの使い心地がとにかく素晴らしくて、とても満足しています。僕はかなりいろんな色を使ってると思いますが、グリーン系の色は全体的に使わないままになってるかな(笑)。たいていはピンクや黄色がすぐになくなっちゃうんですよね。蛍光色(Fシリーズ)も愛用していますよ!

Vexxさんの作品では、楽しくてカラフルなDoodleスタイルと、リアリスティックな画風が融合していますよね。どのようにして独自のスタイルを確立されたのでしょうか。

実は、色を使うのは全然好きじゃなかったので、最初はモノクロで描いていたんです。でもその時には、ちっちゃなキャラクターをいっぱい組み合わせて、ひとつの大きなイメージを作るというDoodleスタイルのアイデアがとても気に入ったんです。すぐにフォロワーのみんなも気に入ってくれたので、このアイデアを追求し続けました。数ヶ月たって、初めてコピックを手に入れたのをきっかけに、色を使うようになりました。

創作過程で一番好きなことはなんですか?

今ではやっぱり色を塗る過程が一番好きです。配色を決めることからスタートするんですが、まずメインになる色を5〜10色選びます。それからまだ色を塗っていない段階で作品を印刷して、どこにどの色を使うのか、隣の色との相性はどうかなどを判断していきます。同じ色が隣り合ったりすることがないようにね。

コピックを使う上でおすすめのコツやテクニックなどはありますか?

そもそもルールなんてないってことを忘れないでほしいですね。 どんな画材でも、自分にしっくりくるなら使えばいいと思います。世の中にはたくさんのチュートリアルがありますけど、画一的な方法が多すぎると思います。アートにルールはないんです。世界で最も重要なアーティストたちは、そのことを理解している人たちだと思います。そして一番大切なことは、楽しみながら創作を続けていくことです!

最近はGucciとコラボしていたことが話題になりましたが、世界的に有名なブランドのイメージと、自分のスタイルはどのように結びつけていったのでしょうか?

Gucciのブランドロゴなどのアーカイブを渡されて、「好きなように作品を作っていい」といういわばおまかせ状態でのオーダーだったのですが、「Gucciの未来を表現するような作品を」という注文がありました。その作品はGucci Vaultで1/1 NFTとして販売されています。
僕は自分の作品をあまり子どもっぽくしないで、もっとラグジュアリーな雰囲気に持っていくようにしています。実際すごくカラフルで、子どもみたいなアートではあるんですけど、僕のスタイルのアートでこの分野を探求したり、Gucciのアートワークを作るのはすごく楽しい経験でした。

NFT市場にも参入されていますが、ブロックチェーンや暗号通貨の技術を使ってデジタルアートを販売できることは、アーティストにとってどのような意味を持つと思われますか?

アーティストにとっては新たなルネッサンスだと思いますね!これまで多くのデジタルアーティストが自分の作品を適切な方法で販売することができなかったわけですから。ブロックチェーン技術によってようやくそれが可能になったわけですが、新しいアートのムーブメントにこれほど興奮したことはないです!そのムーブメントに参加できてることをとても誇りに思っていますし、自分自身で道を切り開いていって今までにない新しいものを発見しているところです。僕の「MOON」NFTはいまアムステルダムのMOCOミュージアムで中心的な存在になっています。バンクシー、KAWS、村上隆、ハースト、バスキア、キース・ヘリングなんかも展示してるんですよ。

NFTが次の大きな流れになるのは間違いないと思ってますし、日々進化していくのを見るのはすごくエキサイティングなことですよね。

最近の作品では、デジタルアニメーションにも挑戦されていますね。しかし、彩色にはいまでもコピックを使っていると聞きました。デジタルアートにも、コピックのようなアナログの画材を使い続けていただいている理由があれば教えてください。

僕は、コピックが作品に与えてくれる伝統的なタッチが好きなんです。実は、コピックのタッチ(塗ったときの粒状感、色をブレンドしたときの混ざり具合など)を再現したデジタルブラシを作ったので、デジタルでもこの手作業感を維持することができるようにもしています。

10月に2冊目のぬり絵本を出版されるそうですね。この本について教えていただけますか?

最初のぬり絵本がすごく売れたんですよ。発売から2年間で20万冊以上売れたんですけど、びっくりですよね。正直なところ、色塗りって過小評価していたところがあるんですが、いまは最高のぬり絵を作ることに注力しています。その成果は、2022年10月4日に発売される2冊目の本「Mythotopia」でご覧いただけます。「Mythotopia」は、神話や伝説上の生物を僕のスタイルで描いてるんですが、古典的なものだけじゃなくて、もちろんVexxオリジナルのドラゴンも含みます。この本の出来にはとても満足していますので、ぜひ見てみてください!

「Mythotopia」の詳細はこちらでご覧いただけます。

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