浅野いにお
漫画家。 代表作『ソラニン』『おやすみプンプン』『うみべの女の子』など多数。 現在は『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を連載中。
— 浅野さんのカラーイラストはデジタルイラストのものしか拝見したことがないのですが、あえて今コピックを使ってみようと思ったきっかけは何ですか?
浅野:漫画家としてデビューして以降、仕事でのカラーイラストの色塗り作業は基本ほぼデジタルで行っていました。初めの頃はデジタルならではのフラットな塗りが楽しかったのですが、徐々にアナログならではの塗りムラや荒さに憧れるようになり、いっそ全てアナログで仕上げるのもアリだなと思っていました。

— アナログ画材でカラーイラストを描いたことはありますか?
浅野:学生時代はデザイン専攻だったのですが、当時学生がPCで作業するのはまだまだ敷居が高く、僕もアクリル絵の具などで作品の制作をしていました。混色が下手なのと、ズボラな自分に水を扱うのは向いてないと思い、仕事ではずっと遠ざけてました。
— コピックを使ってみて率直な感想はいかがでしたか?
浅野:とにかく描きやすい、余計な滲みがないという印象です。色数が豊富で、キャラの肌の色一つとってもどの色で塗ればいいのかわからず初めは戸惑いましたが、自分が使いやすい色が決まれば作業スピードも上がると思います。 コピックならではのテクニックや作例もサイトに豊富に掲載されているので、ユーザーに親切だなと思いました。
今回の自分の色紙に関しては、他の作家さんのテクニックは参考にせず、行き当たりばったりで描いたので正直なところ一からやり直したい気持ちもあるのですが、その修正できない不完全な感じもアナログの醍醐味の一つと考えてそのまま提出させていただきました。 ただ出来上がったもの関しては、普段のデジタルデータとは違い複製不能の一点物なので愛着が全然違います。— 愛着が違う、と仰っていただけて何よりです!こちらの色紙はどのくらいの時間で描かれたのですか?
浅野:線画はコピックのマルチライナーと面相筆で30分。塗り部分は1時間くらいです。
— 使いやすい色や気に入った色はありましたか?
浅野:まだ特定の「この色が好き!」というのはないのですが、グレーの階調が細かく用意されているのは可能性を感じました。 例えば、漫画の通常の白黒原稿でも雑誌によっては紙面の印刷品質の向上でグレー中間色が表現可能になってきていて、そもそも電子媒体であれば完全な二階調化の必要はありません。ならば、スクリーントーンの網点にこだわらなければコピックのグレー塗りに置き換えることもできるはずです。そうすれば今まで以上に微妙なニュアンスを手軽に表現できるようになるんじゃないでしょうか。

— コピックに新たな可能性を見出していただいて嬉しく思います。浅野さんのコピックイラストをまた見れる日を楽しみにしています!
浅野:今回の作業でアナログの楽しさを再認識しました。 色紙での使用以外でも普段の原稿作業でアナログ・デジタルそれぞれの特性を踏まえて、コピックの導入を模索中です。良い落とし所が見つかれば強力な道具になるはずです。
今回使用した製品はこちら:

■コピックスケッチ
コピックファミリーの中で、最も人気のあるプロフェッショナル向けモデル。ミディアムブロードとスーパーブラシの組み合わせで、特にイラスト制作に向いています。全358色のバリエーションを持ち、「こんな色欲しかった!」を叶えます。- 各380円(税別)ストアで表示

■コピック色紙
表面紙には、ペーパーセレクションで採用している平滑性、白色度の高いカスタムペーパーを使用。消しゴムをかけても毛羽立たず、コピックの塗り重ねにも耐えられます。大、中、寸松案の3サイズ展開。- 大色紙サイズ(1枚入)
- 200円(税別)ストアで表示