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時川真一(トキシン)
釣り好きイラストレーター。90年代よりコピックでイラストを描き始める。「トキシンの危機一髪 !」など多くのイラスト釣行記を雑誌に連載。近年は釣りメーカーのアパレルやカタログ、ショップロゴや看板画なども手がける。
現在は沖縄本島在住だが、地元のみならず北海道や海外にも遠征し、自然や魚たちとの触れ合いを楽しんでいる。
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数々の釣り雑誌で釣行記のイラストルポ連載を手掛けられ、釣り業界で抜群の知名度と人気を誇る「トキシン」さん。艶かしく、迫力のある魚のイラストはコピック製品を使って描かれています。コピックを使ったイラストの制作過程などについてお話を伺いました。


コピック エア缶D60Nを”バドルアー”に見立てた遊び心満点のイラスト
コピックが出展した釣りイベントで配布した本イラストの特製ステッカーは大好評でした

マンガチックな作風だと思うのですが、中学、高校の時にハマった漫画やアニメ(機動戦士ガンダムや未来少年コナンなどが好きでした)やポップな色使いに関しては海外のフルカラーコミックの影響があると思います。
高校ではマンガ研究部だったのですが、色々な作品のキャラクターなどを模写していました。

特撮モノとかも好きで、洋書でスターウォーズのデザイン画集など集めていましたが、そうした本に載っていたモンスターや宇宙人のデザイン画のタッチとかが魚のイラストのタッチにもつながっているような気がします。

ペン画は特撮物のイラストで知られる開田裕治先生や、ファンタジーもののイラストで知られる米田仁士先生。あと、海外のSFアンダーグラウンドコミックには衝撃を受けました。リチャード・コーベンという作家さんがいて、ビビッドな色使いにはかなり影響を受けています。

イラストルポやエッセイに関しては、仲世朝子先生。80年代に「オリーブ」という女性誌で『のんちゃんジャーナル』というイラストエッセイを連載していた方なんですが、妹が読んでいたのを盗み見しては「なんか楽しくていいなぁ」と思い続けていたんですね。この連載みたいなことを僕なりに釣り版、旅版でやれたら面白いんじゃないかと思い、イラストレーターとして売り込みをかける際もそういった感じのデモ作品を作り出版社を回りました。

昔ながらの漫画家さんのようにペン&インク。または6Bの鉛筆で描いた線をコピーにかけ、それにコピックで色を塗るというスタイルが多いです。

以前講師をさせていただいていたイラスト教室では、コピックマルチライナーで描いた絵にコピックで着彩していました。仕事によっては線画をパソコンやタブレットに取り入れ、フォトショップやフレスコで着彩することもあります。

鉛筆で描いたイラストをコピーし、コピックで彩色
キノコの白い模様をコピック アクレアで表現

前述の仲世朝子さんがマーカーを使って描いているというのを知り、初めは別メーカーさんのものを使っていたのですが、ある日、画材店でコピックスケッチを見つけ、先が筆状で細かな部分も塗りやすそうだな、色もたくさんあるなと使い始め、それ以来ずっと愛用しています。

いろんな魚を描くので、絞って紹介というのはなかなか難しいのですが、Y21はよく使います。バスもダークグリーンぽい色の中にやや黄色っぽい色が入っていたり、渓流魚ですとイワナやヤマメの腹やヒレに黄色とオレンジの中間くらいの色が綺麗に入っていたりするんですよ。

あとR20。魚の口元にちょっと塗るだけで、血が通うというか、表情が生き生きとしてきます。女性が口紅を塗る感じに近いものがありますね。ダークな体色の魚でも、パッと明るい顔つきになりますよ。

背景の湖や海の色にはB00も使いますが、B41もよく使います。池や沼の表現では、B41のベースにG21を重ねたりしますね。

こちらの魚でもY21とR20が効果的に使われ、イキイキ感を高めています

仕事によって使い分けています。ペンで描くあのカリカリ感が好きなので、ベースとなる線画は100%アナログ。彩色に関しては仕事内容で使い分けます。

イラストルポはコピック彩色が多いですが、ステッカー用のイラストなどはパキッとした発色にしたくてデジタルを使うことも多いです。あと、今はアナログで描いたものも原画ではなくスキャンしたものをデータで入稿しているので、その際の調整・修正にデジタルツールにはかなり助けてもらっています。

最近は、例えばイラストマップを描くときに、人物や建物、料理などの絵はアナログで描き、デジタルで塗ったベースの地図に重ねるようなハイブリッドな使い方をすることも多いです。

僕はスプーンというタイプのルアーをよく使うのですが、ゴールドベースやシルバーベースのアレンジが容易にできたり、ハゲた所の修正に使えるのが楽しかったです。
最近出たアクレアが不透明なのでミノーでもジグでもスプーンでも、簡単にポップなアレンジ塗装ができていいですね。

ハゲハゲだったスプーンにABSで吹き付け、沖縄の海で釣ったイシミ-バイ(カンモンハタ)

特定の釣行の出来事というよりは、「こんな釣りをしてきてね、とても楽しかったんだよぉ~」といったお話を描き続けていますが、雑誌などの連載を読んだ方から「記事を読んで僕も行きたくなりました!」みたいな感想をいただくのは本当に嬉しかったですね。感想が書かれた読者ハガキのコピーは今も大事にとってありますよ。

イラストルポでも一枚絵で描くにも、基本的に自分の体験をもとに作品作りというスタイルはこれからも続けていきたいなと思っています。今年はどうしても自分自身で釣ったイトウを描きたいと、朱鞠内湖まで出かけました。

その時のことは個展用の作品にもしていて、会場で見ていただいています(個展は2024年8月8日〜9月29日まで開催中)。開催地が北海道なのでちょっと遠いかと思いますが、ご旅行やご出張など、何かの機会で訪れることがあればぜひ、お立ち寄り下さい。会場は函館からも近い大沼国定公園のエリアにあり、とても素晴らしいロケーションにあります。ちなみに、展示のカラー作品は全てコピックで彩色の作品です。

あと、同じ北海道つながりなのですが、『タンタカ』という漫画を描き始めました。
釧路に住む友人から、彼が地元新聞で連載をしているフィッシングミステリー小説を漫画にしてほしいと話があり、ひとまず序章部分を小冊子にまとめました。資金難もあり、続きをなかなか進められないでいるのですが、なんとかまとめたいですね。(時川真一のオリジナルグッズ通販サイト「AmazinglyHoliday」で販売中)

これまでイラスト教室などで、いろんな方に使っていただいてきましたが、コピックは子供から年配の方までとても気軽に楽しんでもらえる画材だと感じています。色も鮮やかで、描いていてウキウキしちゃいます。
僕は釣りや食べ歩きが好きなので魚や料理の絵ばかり描いてきましたが、皆さんも好きなテーマを見つけてコピックで塗り塗りしちゃってみて下さい!


個展情報
時川真一 個展
「北の旅〜森と鱒(ます)たち」
期間:2024年8月8日(木)〜9月29日(日)期間中の木、金、土、日曜日に開催
場所:「三月の羊」カフェ内ギャラリースペース(北海道亀田郡七飯町上軍川9-11)
https://tokishin.com/info/5856784

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