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福田哲夫

インダストリアルデザイナー。東京都出身。
日産自動車のデザイナーを経てその後独立し、指輪から新幹線まで幅広いデザインプロジェクトに携わる。 特に「N700系のぞみ」をはじめ多くの新幹線や特急車両、寝台車など鉄道車両のデザインや開発プロジェクトを評価され受賞多数。 現在は産業技術大学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授。

     

日産自動車のカーデザイナーを経て、インダストリアルデザイナー、イラストレーター、大学教授など、様々な顔を持ちながら常にデザインに向き合ってきた福田さんに、仕事道具として愛用されているコピックとの関わりについてお聞きしました。
デザインとコピックとの歴史も垣間見える、コピックユーザー必見の内容です。

    

コピックで、頭の中のアイディアを逃さない

コピックワイド「色を重ねる」

— コピックを使い始めたきっかけと時期を教えて下さい。

福田さん(以下敬称略):コピックの前身、スピードライマーカー(注釈1)から使っていました。その前はポスターカラーで5段階の調色をしてから塗っていましたが、水性絵の具なので乾くのに時間がかかってしまいます。
デザインのためのスケッチにおいては、頭の中のアイディアが逃げないうちに、すぐに色を表現できてイメージを紙に定着できることが大事です。色番号で整理されていて、速乾性のあるコピックを使用することによって作業がはかどるようになりました。

※注釈1.スピードライマーカー:1969年に生産が開始されたデザイン用のマーカーの元祖。

 

— いつも使用される色というのは大体決まっているのですか?

福田:好きな色があるので、よく使う色というのは決まってきます。このくらいの色で重ねるとこのような色になる、ということがわかっていますから。よく使う色だと、特にB23B32あたりですね。
一般的な流行に左右される生活小物やファッションなどと違い、派手に主張する色や形があまりないですから、必然的にベージュやクールグレー、赤の中でもR35など、すこし抑えた色を使っています。

コピックワイド「色を重ねる」

— デザイナーの方は作画にコピッククラシック(角形)を使用している方がほとんどですが、福田さんはコピックワイドをお使いなのですね。

福田:主に使用している紙のサイズがA3版以上と大きいので、コピッククラシックで全て塗るとなると時間がかかリ過ぎてしまうのです。
今回のデザインスケッチはほぼ全てコピックワイドで描きました。ほんの一部にコピッククラシック、柔らかい表現をしたい部分にのみ色鉛筆やパステルを使用しています。コピックワイドであれば、そのまま太く描くこともできますし、角を使いピンポイントで細い線も描くことができるわけです。

 

「どうしてこのような形なのか」を説明できるのがデザイン

— 実際はどのようにしてデザインのためのスケッチを描いていくのですか?

福田:描く対象物を立体的に見せるために必要な影と、表面の光の映り込みを意識しつつ背景から塗っていきます。光の反射を計算して、意識的に白い部分を残してほかを塗ります。
今回のデザインスケッチでは、青のコピックを何色か使いどんどん重ねて深味を出していきます。自分が思う色になるまで何度でも塗り重ね試行錯誤を繰り返します。
描きたいものがどういう形になっているのかを把握した上で、きちんと表現することが大事です。

先生による赤シュモクザメの鱗のスケッチ

— デザイン作業で、形をイメージするとき参考にしているものはありますか?

福田:複数のアイディアから1つのデザインが生まれることが多いですね。
ある雑誌で、アカシュモクザメの鱗の電子顕微鏡写真を見たのですが、F1マシンのフロントカウルそっくりな形に見え、とても合理的なデザインだと驚きました。そういう自然界の形からヒントを得たりすることもあります。デザインのためのスケッチは合理的な形であることが求められるので、「どうしてこのような形なのか」と説明できなければなりません。

— マーカーの扱い方は全て独学ですか?

福田:そうですね。マーカーを使っている先輩はいましたが、あまり使いこなしている人はいなかったし、今のように書籍や教室もなかったので独学するしかありませんでした。60年代当時は、アメリカ車の雑誌広告などすべてイラストレーションで描かれていましたので、それらが情報源であり、「これはどうやって描いたのだろう?」と研究していました。そこからは、デフォルメの仕方や反射面の表現、雨上がりで濡れている表現など色々な技法を見て勉強しました。
また、構図の勉強などは構成学の基本ですが、雑誌のほかに北斎の浮世絵などからも刺激を受け参考にしていました。

 

インクには「訴えかけてくる力」がある

   
写真

— シーンスケッチ(注釈2)は手軽で、デジタル時代の今でも打ち合わせの時などに最適なものだと感じますが、どう思われますか?

福田:打ち合わせの時は、その場での考え方を即座にスケッチとして表現できることが大事です。この色はどうですか、このようなイメージですか。などと話しながら相手と詰めていくことにより、アイディアが冷めないうちにイメージを共有できます。何のツールを使ってもよいのですが、手描きの良さはそこですね。

※注釈2. シーンスケッチ:商品(家電や乗り物、建築物など)がユーザーにどのように使用されるか、状況を説明するために描くスケッチ。

  

今回、実際にシーンスケッチが出来あがるまでの工程を見せていただきました。福田さんの中でパッと思い浮かんだイメージが、迷うことなくサラサラと現れていきます(驚くことに、カメラのある方向に向けて描き、福田さんから見ると逆さまの状態で描いていただいています)。

写真

— 目の前で絵が浮かび上がっていくことで、気持ちも高ぶりますしイメージが湧いてきます。

福田:シーンスケッチは、適当にパースを予測して、水平線と垂直線、それに放射状の透視線などを使って自由に描きこんでいきます。その場で自分のイメージを形にすることが大事ですし、相手と過程を共有してその場で作り上げるわけですから、少しくらい失敗しても大丈夫です。上手に描こうと思えばデジタルツールを使っていくらでも描けますが、まずは自分の思いを記録し、相手に伝わるよう描くということに意味があります。
あとはインクの力といいますか、反射光での発色の良さだけではなく、トレシングペーパーなど透過性を生かした紙との組み合わせによる表現などでしょうか。インクを使って描かれたナマのスケッチからは、やはり表現される鮮やかさなど訴えかけてくる力が違います。

— コピックは今年で誕生30周年を迎えましたが、これからのコピックになにか望まれることはありますか?

福田:コピックを作っている皆さん自身が、コピックの良さについてもっと知ることでしょうか。私が営業マンになりたいくらい、他の画材にはない良いものだと思います。
今でも使われ続けているということは、何よりもコピックそのものの豊富な色数や透明性とともに速筆性に優れた機能が評価されているということですから。ぜひ良いかたちでのご発展を祈念しております。

福田さんデザインスケッチ

福田さんによるデザインスケッチへのコメント

「“ひらめき”は、常にスケッチをしながら記憶に残す習慣をつけています。
このフリーハンドで描いたスピードシェイプは、十数年前の抽象的なアイデアを進化させ、浮上走行する “移動態”をイメージして描きました。マーカーは、平滑面が得やすい一方で重ね塗りによるムラもできます。しかしそのムラは、パステル、色鉛筆など他の画材と併用することで、石、木目、金属、ガラスあるいは布、皮革など、かえって表情豊かなテクスチュアを得ることができます。視覚伝達のためのスケッチは、 “ひらめき”の記録装置ですが、新しい発想を引き出すための孵化装置でもあるわけです。マーカーは発想と表現の幅を広げてくれます。」

■コピックワイドのご紹介

写真

福田さんも愛用されているコピックワイドのご紹介です。
コピックワイドはその名の通り、幅21mmものニブを備え付けたコピックですので広い面積を素早く綺麗に塗るのに適しています。
インクの入っていない「オリジナル」のみの販売となりますので、別売りのバリオスインクと併せてご使用ください。

このような制作をされる方へ:イラストの広い面積をムラなく塗りたい・大きな紙にコピックを使用したい・似顔絵などクオリティとスピードがもとめられる現場でコピックを使用する、など

コピックワイドオリジナル
  ・定価380円+税
・取り扱い店舗に限りがございますので、直接お近くの画材店にお問い合わせください。
メーカー直営店のトゥールズも併せてご利用ください。
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